踏み出す一歩が、 自分を変えていく! 小原美由紀さん(特集「この世界が壊れる前にわたしにできること」より)

「ピースウォーク金沢2025」。 手には白い鳩の風船を……

この世界が壊れる前に、あなたなら何をしますか? 小原美由紀さんは、誰もが一歩踏み出すための場づくりを実践しています。ごく平凡な一市民を、行動へと駆り立てたもの。それは、世界を震撼させた同時多発テロと、長男のひとことでした。
文/濵田研吾 写真提供/小原美由紀

過去の学びから、今の行動へ  
石川県野々市市の自然食品店で働きながら、さまざまな平和・市民活動に取り組む小原さん。23歳のとき、友人に誘われ、石川県の「平和サークル むぎわらぼうし」と出会います。県内で暮らす広島の被爆者の証言を聞くなど、3人の子どもを育てながら、過去の出来事を学びました。毎年夏には、朗読劇「この子たちの夏」(※1)を金沢で上演する活動にも、熱心に取り組みました。 「『この子たちの夏』が、金沢とは別の町で上演されたとき、小学3年生だった長男といっしょに見たんです。『お母さんにとって、このお芝居はとても大事なもの』と子どもながらに感じてくれました。それが2001年の夏のこと。長男は8歳、次男は6歳、三男は1歳でした」  2001年9月11日、アメリカ同時多発テロが起きます。ブッシュ大統領(当時)は、すぐさま報復を主張。アメリカは「対テロ戦争」へと突入し、日本をはじめ各国の首脳もアメリカを支持しました。 「私の世代からすると、初めて目の前で起きた“戦争”でした。ひとりの人間として、手も足も出ない。金沢のお母さんである私がやらなくても誰かがやってくれる、そう感じたのも事実です。そんなとき、ニュースを見ていた長男が言ったんです。『ブッシュ大統領はバカや! 戦争は絶対にダメや!』。その言葉に突き動かされました。行動を起こさなければ。傍観していては、この子たちの前に親として立てない、と思いました」  過去の学びから、今の行動へ。小原さんが思い浮かべたのは、東京などで行われていた「ピースウォーク」でした。市民が平和を願い、みんなで車道を歩く。小原さんは3人の仲間と4人で、金沢では初のピースウォークを企画します。SNSはなく、電話やFAXで告知し、「紅茶の時間」の水野スウさんをはじめ、賛同の輪が広がります。そして10月6日、第1回「ピースウォーク金沢」を開催。同時多発テロの翌月のことです。 「戦争反対の意思をあらわすイエローリボンを、参加者につけてもらおうと用意しました。50人くらい来てくれるかな、と思ったら、120人も参加してくれました。『何かしたい』という人が金沢にこんなにいたんだ、と驚きました」  その後も、アフガニスタンの写真展や医師の中村哲さん(※2)のビデオ上映会などを通し、仲間を増やしていきます。  しかし、アメリカはイラク戦争に踏み込み、日本も自衛隊を現地に派遣。開戦1年となる2004年3月20日からは、毎年この日に「ピースウォーク金沢」を開いています。コロナ禍の2021年も、参加者が平和へのメッセージボードを掲げたり、SNSで写真や動画を投稿するなど、中止しませんでした。

「ピースウォーク金沢2025」には、 ジャーナリストの金平茂紀さんの姿も

 

 

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