
まつむら・みのり 静岡県生まれ。空間デザイナーとして企業に勤務後、結婚を機にフリーランスとなり埼玉県草加市へ。
市が主催する『リノベーションスクール』の仲間と共に会社を設立し、「シェアアトリエつなぐば」をオープン。
新しいアクションを起こしている人に注目する連載「動くヒト」。今回は、古いアパートをシェアアトリエとして改修し、子ども連れでも働くことができ、地域の人たちがつながる場づくりに取り組む松村美乃里さんです。文/中村未絵 写真/堂本ひまり
子連れでも自分らしく働ける場を
埼玉県草加市にある、築39年の2階建てアパートをリノベーションした「シェアアトリエつなぐば」(以下、つなぐば)。ここは「子連れで働ける場所をつくりたい」と松村美乃里さんが仲間たちと一緒に2018年にオープンした、地域の人たちが集まる拠点です。 1階はカフェ兼アトリエスペースになっていて、近隣の古民家などが解体されるときに「レスキュー」した家具や建具などを再利用。壁の塗装もワークショップ形式にして、みんなでつくり上げていったそう。 「ここでは自分のやりたいことを小さくでも始められて、みんなで子どもを見守りながら生き生きと働ける場になることを大事にしています」と松村さん。カフェの料理やお菓子は、シェアアトリエを借りている利用者さんが日替わりで提供しているもの。そのときどきで、服や雑貨、お花などを販売する人がいたり、テーブルのあるスペースでは手仕事などのレッスンやワークショップが開催されたりしています。奥にある広い畳のスペースでは、フラダンスのクラスやアロマトリートメントを提供する利用者さんも。 「近所の人がカフェで食事をする横で、スタッフやお客さんが連れてきた子どもたちが遊んでいたり、手仕事のワークショップをやっていたり。そんなごちゃまぜな風景が、ここではよく見られるんですよ」 子育て中の人に限らず、子連れで働く場所であることへの理解があれば、世代や性別に関係なくアトリエを借りることができます。毎週でも月1回でも、自分のペースで好きなことを仕事につなげることができる環境があり、ここで経験を重ねて、自分のお店を持って独立した人もいるそうです。
「何もない街だな」と思っていた
「こういう活動を始めたのは、娘の誕生がきっかけでした。私は静岡出身で、地元のことが大好き。だから子どもにも生まれ育つ街に愛着をもってほしかった。それなのに、当時は私自身がこの街のことをあまり好きではありませんでした」 松村さんが東京から草加市に引っ越してきたのは十数年前のこと。結婚後、夫の通勤のしやすさなどを考慮して、それまでゆかりのなかった街に住むことに。「地域に友達はゼロ。フリーランスのデザイナーなので、家にこもって仕事することも多く、社会から断絶されたような状態でした。『この街にはなにもない』と感じて愛着がもてなかったのですが、だったら空間デザイナーとしての経験を生かしてまちづくりに関われないかと思ったのです」 2015年、松村さんは生後6か月の赤ちゃんを抱っこしながら、草加市が主催する女性創業スタートアップ事業「わたしたちの月3万円ビジネス(3ビズ)」講座に参加します。この講座は、最初に3年後の自分の夢を描き、その実現に向けた第一歩として「小さなしごとづくり」にチャレンジするという全6回のプログラムです。
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