お久しぶりです! あいあい一同、 みんな元気です♪ 特定非営利活動法人 ワークショップあいあい(福島県いわき市)「(特集「繕うくらし 服も、器も、思い出も」より)

「ワークショップあいあい」は、障害のある人たちが、「ウエス」と呼ばれる工業用ぞうきんを手作りする、町の小さな作業所です。着なくなった綿の衣類、使い古したシーツやタオルが、その材料です。前回の取材から8年、あいあいの皆さんを久しぶりに訪ねました。文・写真/濵田研吾

ずっと変わらぬ読者の厚意  
JR常磐線の泉駅から、バスで20分ほど。いわき市小名浜地区の古い商店街に、ワークショップあいあいの作業場と事務所があります。就労継続支援B型事業所(※1)として、身体、知的、精神、難病などの障害のある人たちが、ここでウエス作りに励んでいます。 「ウエス」とは、綿の古着や布、タオルやシーツを裁断した「工業用ぞうきん」のこと。綿の布は油を吸いとりやすく、自動車整備工場、精密加工工場、鉄工所、板金所、印刷会社、清掃センターなど、さまざまな場所で重宝されてきました。  作業場には、8年前に取材した懐かしい顔もあり、うれしくなりました。そのひとりが、利用者の高橋さん。真っ白な大きなシーツを、ハサミでチョキチョキ。その手際のよさ、まさに職人芸です。  作業場奥の事務所に取材用のカバンを置かせてもらうと、部屋のカーテンに猫のタッセル(束ね)が。 「古いシーツで仕立てたカーテンです。タッセルの猫ちゃんは、洗濯ばさみのまわりを、綿の端切れで縫ったもの。かわいいでしょ。〝繕うくらし〟にピッタリ(笑)」  そう話すのは、あいあい理事長の豊田節子さん。公立の保育園で40年、保育士として勤めたあと、この仕事に就きました。  ワークショップあいあいは、1996年に小規模作業所としてスタートし、2008年に現在の就労継続支援B型事業所に移行しました。ウエス作りを通して、障害のある人たちの仕事を創出し、日々の暮らしを支えてきたのです。2011年の東日本大震災では、近くの小名浜港に津波が押し寄せ、あいあいの建物も浸水しました。幸いにも利用者と職員への人的被害はなく、震災の危機を乗り越えることができました。 『のんびる』との出会いは、震災の2年後でした。ウエスの材料が不足するなか、『のんびる』読者の豊田さんが悩んだすえ、「綿の古着を集めています」と支援を呼びかけたのです(2013年6月号「読者のひろば」)。読者からの反響は大きく、綿の衣類、タオル、シーツなどが数多く寄せられました。 「今でも読者の方はもちろん、そのご家族、お友だち、お知り合いの方から古着が届きます。ありがたくて励みになるので、宅配便の伝票もお手紙も、ぜんぶ残しています。ポストカードにひとこと添えて、お礼状を出していますが、それを見てまた送ってくださる方もいます。この場をかりて、心よりお礼申し上げます」

古くからの『のんびる』読者である豊田節子さん


材料不足を補うために  
ウエスに使える古着や布は、綿35%以上のものに限られます。色、品質、サイズによって、納入先の引き取り価格は異なり、白いTシャツ、白の衣類を使った「白メリヤスウエス」が高級品です。古着をウエスとして製品化する工程は多く、「仕分け(綿35%以上のものを選ぶ)」「回収」「ボタン、タグ取り」「裁断」「たたみ」「計量」「まとめ(結束)」とていねいな手作業が求められます。  ウエスの納入先は、福島県外を含めて40件ほど。需要は多く、営業をかければ、納入先を増やすことは可能です。問題は、ウエスの材料不足です。地元で衣類のリサイクルに取り組む「ザ・ピープル」(※2)から古着を安価で買っていますが、それだけでは足りません。 「お客さまから注文を受けて、数日以内にウエスをお届けすることを信条にしています。悩みは、材料のストックが少ないこと。化学繊維の服や下着が増え、県外や海外から古着を送ってもらうこともあります。最近は物価高もあり、服を大切に着続ける方が増えました。それはすごくいいことですが、古着が減ってしまうと大変で……」  あいあいでは、綿の古着の寄付を呼びかけるチラシを作り、地域の人たちに配っています。また、地元の高齢者福祉施設にウエス用の古着ボックスを置かせてもらい、職員と利用者が車で受け取りに出向いています。遺品整理の需要も増えるなか、それをウエスに活用する仕組みづくりも模索しているそうです。


この状態でウエスとして納品する

・・・続きは『のんびる』9.10月号特集をご購読ください。

9.10月号目次

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