
きんじょの本棚(東京都町田市)
「どこで借りても、どこで返してもいい」を掲げて、玄関先や店舗に本棚を置くすてきな取り組み「きんじょの本棚」が、町田市を中心に各地に広がっています。そんな「きんじょの本棚」が集まってお祭りが開かれました。
「きんじょの本棚」を始めたきんじょうみゆきさん
本棚を囲んで学園祭
ある晴天の土曜日、玉川3丁目子ども広場は、楽しい空気に包まれていました。枝を広げたエノキの木には「きんじょの学園祭」の大きな垂れ幕がかかり、町田第五小学校を拠点に活動する「まちGO!ら・ぽルと吹奏楽団」をはじめ、地元の合唱団やミュージシャンが音楽を奏でます。中央のテントは各地の本棚を集めた「きんじょの大本棚」。木箱やスーツケース、カラフルな三角屋根の本棚が置かれ、本棚の店主さんがセレクトした本を、たくさんの人が熱心に眺めています。向こうの木陰では、読書会が開かれている模様。
広場のぐるりにはワークショップや飲食のブースが並びます。編み物作品などを出品する田村さんは、東京・武蔵境から。なじみのカフェに本棚54「夢想読書会@Ond」を置いてもらっているそうです。紙を巻いて作ったモチーフで小物を作るペーパークイリングで出店していた山田さんは、
101「おさんぽ日和」店として絵本などを置いています。「インターネットで『きんじょの本棚』を見つけて、店主になりました。貸出ノートを置いておくと、子どもたちがいろいろ書いてくれて楽しいんです」。本棚97を置くベーカリー「スワンさがまち店」のパンや、玉川学園サンゴ研究部によるサンゴコーヒーなど、飲食ブースも多彩です。地元のサッカーチームFC町田ゼルビアは試合開催日に出す本棚129「天空の城」店を広場に配架。「読書好きな選手のおすすめ本を置いていましたが、どんどん入れ替わってます」と広報の小池さん。
音楽に美味しいもの、そして本。まちの人がたくさん関わって、盛況です。いったいどうしてこんなお祭りをやっているのでしょうか?
面白い本、いろんな人に
「『きんじょの本棚』はふだんは個別にやる活動ですが、こんなことを面白がってやる人たちはみな面白い人ばかり。そんな店主さん同士、会ってもらいたいって思ったことがお祭りの始まりなんです」と「きんじょの本棚」発案者きんじょうみゆきさんは話します。
そもそも、本を通じて人とつながりたいと思ったきんじょうさんが、誰でも手に取れるところに小さな本棚を置いたのは2018年12月のこと。複数あるほうがいいだろうと、自宅前のほかに行きつけの喫茶店と美容院、知り合いの工務店に本棚を置かせてもらいました。好きな本を置きましたが、当初はあまり読まれた気配もなかったそうです。家族にも、「一銭にもならないそんなこと、何でするの?
本が汚れたり、なくなったりしてもいいの?」といぶかられたとか。
「でも、読んで面白かった本を誰かにも読んでほしいと思うこと、ありますよね。本だってうちの本棚でじっとしているより、いろんな人に読んでもらったほうが幸せなんじゃないかと思って。何か言われても『自己満足ですから』って言えばいいじゃんって、息子が背中を押してくれました」
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