中原美智子さん (NPO法人 つなげる 代表理事)
なかはら・みちこ 社会福祉士、㈱ふたごじてんしゃ代表取締役、㈳日本多胎支援協会理事。大阪市生まれ。
2003年に長男、2010年に双子(次男、三男)を出産。世界初の未就学児2名が同乗可能な3輪自転車
「ふたごじてんしゃ®」を発案。2018年に多胎育児支援のNPO法人 つなげるを設立。
著書に『ふたごじてんしゃ物語』(苦楽堂)。
【のんびるインタビュー】
1.10%と0.02%。分娩件数のうち、双子と三つ子の占める割合(※1)です。
多胎妊娠・出産はリスクが高く、育児にも多くの困難が伴います。
双子のお母さんである中原さんは「誰もが命の誕生を喜べる社会を」と願い、
活動を続けています。
自分の至らなさを責めて…
─下の息子さん(次男、三男)が双子と伺いました。仲はどうですか?
長男は大学3年で、次男と三男は中学2年です。下の子たちは仲がいいですよ。
よく喧嘩はしていますが、あうんの呼吸というか、お互いの一番の理解者なんでしょうね。
興味関心ごとが常にいっしょなので、小さいときから2人で物事を探求していきやすい。
私は三姉妹の真ん中ですが、3つ上の姉の世界も、1つ下の妹の世界も、
同じようには見えません。
─ただ、育児では悩まれたそうですね。
私は、暴力の絶えない家庭で育ったんです。もうあんな思いはしたくなかったし、
家庭を持つことをすごく警戒していました。でも、縁があって結婚しました。
つらい思いをした私だからこそ、暴力や虐待を断ち切ることができると思った。
2003年に長男が生まれ、子育ては悩みながらも、楽しかったです。
自転車に乗って、いろんな公園に出かけたり……。 2010年に次男と三男が生まれました。
長男を育児した経験が、双子だと通用しないんです。お散歩にも行けないし、
「上の子と同じように接してあげられない」とすごく自分を責めました。
母親として、ほんとにつらくて、つらくて。
─多胎育児は、何が大変なのでしょうか。
双子だと1人寝かしつけても、もう1人泣くことがあり、お母さんは睡眠不足になります。
新生児は3時間おきにミルク(授乳)、おむつ、沐浴があり、離乳食が始まってから
1歳半ぐらいまで大変です。ミルクをちゃんと飲んで、寝てくれるのか。
「この子たちを生かさないと」という気持ちになることが、とてもストレスフルなんです。
2歳くらいになると自我に目覚め、自分で靴を履いて走れるようになります。そうなると
また心配で、気が気でない。「双子だから2倍大変なのではなく、2乗だ」
という声も聞きますね。
─双子の子どもだけでなく、その兄弟、姉妹にあたってしまうこともあると聞きました。
下の子のことで頭がいっぱいで、つい長男を怒鳴ってしまったこともあります。
子どもの成長は楽しみなことだし、こんなに尊いことはありません。
それなのに自分の一番見たくない部分が出てきてしまい、自分の至らなさを責めてしまう。
周りの無理解が、お母さんを追い詰めることもあります。「いつも赤ちゃんが泣いている。
虐待では?」と近所の人に通報されたり、いきなり警察の人が家に来ることもあります。
そうなるとますます人が怖くなり、家にひきこもってしまいます。
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◆11.12月号目次◆
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