「 ハウジングファースト」「住まいは人権 」を理念として セーフティネ ットのほころびを繕うために(特集:住む家のない人と住む人のない家と より)

2014年6月、都内で生活困窮者支援をおこなってきた有志が集まって設立された
「一般社団法人つくろい東京ファンド」。
「市民の力でセーフティネットのほころびを修繕しよう!」を合言葉に、
東京・新宿を中心に路上生活者や生活困窮者の相談と支援を続けてきた。
代表理事の稲葉剛さんに、住まいと貧困の実態、
とくにコロナ禍で顕在化した住まいのない人たちの苦境とその支援についてうかがった。

 

「 ハウジングファースト」、「住まいは人権」を理念として 
セーフティネットのほころびを繕うために
一 般社団法人つくろい東京ファンド代表理事 稲葉剛さん

 

救済のネットからこぼれ落ちる人たち

 

━ 稲葉さんは、ご自身、20年間以上も生活困窮者の支援に携わってこられたわけですが、
この間の生活困窮者の実態につ いて、まずお話しいただけますか。

私の主な活動エリアは東京 ・ 首都圏です。
その範囲で申し上げますと、 バブル経済崩壊後の1990年代半ばから
官民による路上生活者支援がおこなわれてきました。
国内で貧困が拡大した2000年代に入ると行政による支援も始まりましたが、
その 一 方で、「ネットカフェ難民」 など、
安定した住まいを失った生活困窮者(ハウジングプア)の増加が顕著になり、
路上生活になる前の困窮者への支援もおこなわれてきました。

近年、 路上生活者への生活保護の適用が進み、路上にいる人たちの数は減ってきました。
東京都の調査によると、ピーク時に5800人ほどいた路上生活者は現在、900人ほどに減っています。

 

━「つくろ い東京フ ァ ンド」 の設立は、 2014年ですね。

官民による支援の 「しくみ」 は整いつつあるのに、
そこからこぼれ落ちている人がたくさんいるのです。
路上には、 まだまだ多くの人たちが取り残されていますし、
路上以外の不安定な場所にいる人たちについては本格的な調査すら実施されていません。
そんな問題意識から 「つくろい東京ファンド」 は出発しました。
「つくろい東京ファンド」 の 「つくろい」 は
そうしたセーフティネットの穴を 「繕う」 という意味を込めたネーミングです。

 

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いなば・つよしさん
一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事、認定NPO法人ビッグイシュー基金共同代表、
立教大学大学院客員教授。1994年から路上生活者を中心とする生活困窮者への支援活動に取り組む。
著書に『貧困パンデミック』(明石書店)、『閉ざされた扉をこじ開ける』(朝日新書)、
『コロナ禍の東京を駆ける』(共編著、岩波書店)など


この記事は、5・6月号特集でご紹介しています。
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