ちょっと田舎の 火付け役として(特集:始める 続ける シェアする 小さなお店 )

杉戸おさんぽ立ち寄りカフェ「chocont」
写真/濵田研吾
 
東京から電車で約1時間の埼玉県杉戸町。
都会でもなく、過疎地でもない、
ちょっと田舎のベッドタウンです。
とりたてて何もない町に見えますが、
本当に何もないのでしょうか?
 
ちょっと田舎の 火付け役として 
矢口真紀さん(choinaca合同会社代表)

<転機は「自分の披露宴」>
「ごまちゃん、矢口です! 今から、行ってもいい?」。
choinaca(ちょいなか)合同会社代表の矢口真紀さんが、
どこかに電話しています。
案内してもらったのは、
東武動物公園駅から歩いて10分ほどの場所にある、
杉戸おさんぽ立ち寄りカフェ「chocont(ちょこんと)」。
「ちょこんと可愛らしい!」と思わず声が出てしまいました。
空き家だった築60年の古民家を、リノベーションしたそうです。  
 
縁側からお邪魔すると、子どもを連れたお母さんたちでとても賑やか。
「イベントでもないのに、こんなに来てくれて」
と店主の斎藤夏未さんはうれしそう(愛称の「ごまちゃん」は旧姓に由来)。
右に矢口真紀さん(choinaca合同会社代表)、
左に斎藤夏未さん(杉戸おさんぽ立ち寄りカフェ「chocont」代表)
 
矢口さんの実家は、このお店の近く。
大学2年まで杉戸で暮らし、大学卒業後に中国へ留学。
帰国後は東京で暮らし、
広告代理店でイベントのプロデュースを手がけるなど、
忙しい毎日を送っていました。
 
「30代半ばになり、消費を煽るような仕事に疲れ果てました。
自分が何をしたいのか考え始めたときに、
藤村靖之先生(※)の講演を聴いたんです。
『経済収縮する時代に経済成長を目ざすような、
矛盾した今の世の中を生きている』と言われ、
私の違和感もそこにあると気づきました」
 
写真/濵田研吾
わたしたちの月3万円ビジネス
https://www.facebook.com/3bizwomen/
 
転機は37歳のとき。
東京・表参道のバーを貸し切り、イベントを開いたのです。
名づけて「矢口祭り」。
家族や友人を招き、飲んで、歌って、踊り明かしたといいます。
「自分の働き方がわからず、独身で地元に戻る自信もない。
いろんなモヤモヤを抱えながら、出した答えが自分の披露宴(笑)。
裏方ではなく、私にスポットライトを当てた、自分のためのイベントです。
好きなことを、おもいっきりやることの喜びを知りました」
 
矢口さんには、気がかりなこともありました。
久しぶりに実家に帰ると、
子どものころにあった町の活気が失われていたのです。
近くにある昔ながらの商店街も、シャッターが目立つようになりました。
「ド田舎じゃないのに、町がこうなってしまう。ショックでした」
 
 
(※)ふじむら・やすゆき。工学博士、発明家。非電化工房代表。
著書に『月3万円ビジネス─非電化・ローカル化・分かち合いで愉しく稼ぐ方法』(晶文社)。
 
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