車いすの母と、父との旅(特集/介護をテーマに私のイチオシ)

車いすの母と、父との旅
文・写真 中村未絵
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 埼玉の実家に暮らす母が脳卒中で倒れたという連絡を受けたのは、もう15年ほど前のこと。
正直言って、いちばん大変だったときのことは、あまり覚えていない。
どこか暗いムードが漂いがちなリハビリ専門病院でさえ、よく笑っている家族だったんじゃないかと思う。
そもそも最初からハチャメチャだった。
 母は風呂上りに吐いて意識を失い、救急車で運ばれたという。
私は都内で一人暮らしをしていたのでその場にいなかったが、
「それがさ、救急隊員に年齢をきかれたら3歳もサバ読んだんだよ」
と、あとから苦笑いの父。
母は年上女房で、昔から年齢のことは禁句だったのだが、
まさか救急車で年をごまかすとは……!

そんな話ではじまるエッセイ「車いすの母と、父の旅」。
「題だけ見ると、しみじみした良い話のイメージだけど、
わが家の場合はそうならない気がする」とは書いた中村さんのコメント。
思わず笑ってちょっぴり切ないこのエッセイ。
ぜひ続きを読んでみてほしい。

なかむら・みえ
編集者・ライター。20代後半の頃、実家の母が脳卒中で倒れる。
実際に「介護」と呼べるような経験をしたのは最初の短期間だけ。
老老介護に頼りながら、この先のことを考える。
出版社勤務などを経て、現在はフリーランス。
『のんびる』をはじめ、パルシステムのウェブマガジン『KOKOCARA』なども担当。


このエッセイは、4月号でご紹介しています。
◆『のんびる』2019年4月号 
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